第21回の結果

入選

優待券売ってランチを楽しむわ 城　須磨子

デコピンが観戦してるVIP席 上平　祥

株優に釣られて高値掴まされ 山﨑　止水

優待券三途の川で使えそう 木原　榮二

肩叩きの優待券をくれる孫 成瀬　雅世

山菜採り人には告げぬ秘密基地 中村　ちづ子

僕だけの優待席は君の横 長谷川　清流

優待がくすぐってくる虚栄心 竹中　正幸

五本抜く二本おまけと歯医者さん 田中　利一

優待券で買ってしまった不用品 宮崎　まゆみ

優待に釣られて買った不良株 葛谷　美紀子

セリ値聞き優待席で待つ秋刀魚 福村　まこと

優待の文字につられてネット詐欺 だんだん

ニンゲンの優遇措置は現世まで あすか　行人

ご優待有りと閻魔に言われても 星野　睦悟朗

薄いから優待してよ床屋さん 髙山　龍太郎

理由なく優待されるはずがない 戴　けいこ

何かある政治家からの優待券 中進

優待席檻の中だとふと気づく 稲葉　良岩

優待券当たる黄泉まで行く列車 みつ木　もも花

古典的詐欺優待を餌にする 橋倉　久美子

スタートのラインが甘い七光り 竹中　正幸

優待の言葉につられ無駄を買う 穐山　常男

フワフワの椅子でお尻がむず痒い 五月

テレビの前の炬燵が祖母の指定席 北田　のりこ

秀３

優待席妻を座らせ家事をする 平尾　定昭

秀２

初めての優待涙定年日 橋本　恭治

秀１

赤ちゃんに優待席を譲るタマ 吉崎　柳歩

選者吟

春風がさくらの開花招く朝

選者コメント

「優待」と聞くと、つい心が浮き立つもの。その裏には得をしたい気持ちや、ちょっとした優越感が潜んでいます。今回は、優待の恩恵に舞い上がる心理や、そこに隠れた虚栄心を巧みに詠んだ句が目立ちました。また、身近な出来事と結びつけたユーモアのある作品も多く、優待の持つ二面性を感じさせる句が多かったように感じました。

秀3　妻が長い入院生活からようやく退院してきました。今日はとにかく妻はお客様。私が家事全般の面倒をみます。

秀2　実直でヒラで定年まで勤めました。今日だけは定年の私が主賓です。晴れがましい一方ちょっと寂しい気がします。やはり自然に泣けてきました。

秀１　待望の赤ちゃんです。家じゅうの喜びはタマもよ～く分かっています。とにかく日当たりの良いポカポカの特等席は赤ちゃんに譲ります。